ステロイド療法は危険?

ステロイドの副作用としては、1)ウイルス、真菌、細菌など健康なら罹らない病原菌に感染するリスクが高くなる。2)糖尿病を起こす場合がある。3)長期間では骨粗しょう症を起こす。4)精神的に不安定になることがある。5)顔が丸くなり、ニキビができる。6)胃潰瘍を起こすことがある。7)長期では動脈硬化を進める。8)稀ですが大腿骨頭の壊死などが考えられます。しかしながら、その起きる危険性はステロイド療法の期間や量にもよります。IgA腎症のステロイド療法ではほとんど問題になりません。そして、ほとんどの副作用はそのことを周知している医師であれば予防策を講じています。特に感染症ではサイトメガロウイルスの感染を定期的にモニターしていますし、カリニ肺炎は予防薬を服用します。骨粗しょう症や胃潰瘍も予防薬が有効ですし、糖尿病に関しては腎臓にも良いSGLT2阻害薬が現在は使えます。大腿骨頭壊死は長期にわたって服用しているとありましたが、生活指導のおかげか最近では見ることがなくなっています。またステロイド療法が長期にわたる場合には他の免疫抑制剤を併用してそれぞれの副作用を最小限を食い止める努力をします。いずれにしても他の免疫抑制療法同様に必要性を十分に判断して行うべき治療法です。2022.3.1