ネフローゼ(症候群)というのは、慢性糸球体腎炎などで尿にタンパク(主成分はアルブミン)が一日3g以上失われてしまうために、血液中のアルブミンが減少して身体中がむくむ病気の総称です。ひどい人では数十Kgもむくみで体重が増えます。この病気が怖いのはむくみのために心不全になることです。また足がむくむと静脈血栓ができて肺梗塞を起こすのがとても危険なので、脚に弾性ストッキングを履いたり血栓を予防するために抗凝固薬を点滴します。浮腫に対してはフロセミドやトルバプタンという利尿薬で治療します。
原因となる慢性糸球体腎炎には微小変化型、膜性腎症、巣状糸球体硬化症という3種類があり、それぞれステロイドの効き目や腎不全になる危険性に差があるので、腎生検でしっかり診断をつける必要があります。微小変化型はステロイドがとてもよく効き腎機能は悪くならないのですが、再発しやすいのが特徴です。それに対し巣状糸球体硬化症は全く逆でステロイドが効きにくく腎不全になりやすいので高度な治療が必要です。膜性腎症ではそれほどむくみがひどくならないことが多いのですが、体のどこかにガンが潜んでいることがあるので検査が必要です。2022.3.1