腎臓病の検査

腎臓病の原因を調べるための検査

1. 血液検査

診断に必要な検査名目的
推算GFR値(eGFR):クレアチニン値(CR)またはシスタチンC値(CysC)から計算される。腎臓の働きを知る基本的な血液検査。60ml/分/1.73m2(およそパーセントと置き換えられる)以下で低下とする。CRは筋肉の代謝物なので、極端に筋肉が少なかったり、多い場合はeGFRを過小評価、過大評価するのでCysCを用いたeGFR値を使用する。ステージG1〜G2ではCysCの方が正確な場合がある。
血算白血球とその分類、血色素(ヘモグロビン)、血小板など
尿素窒素(BUN)腎臓の働きが低下するとCRと同様に増加する血液検査。通常はCR値の10〜15倍程度だが、20倍以上だと、脱水症やタンパク摂取の過剰、血便の可能性がある。
尿酸値(UA)血液中に高いと腎臓の働きを低下させたり、痛風になる。
ナトリウム(Na)150mEq/L以上もしくは130以下で脳に影響を与える。
カリウム(K)/マグネシウム(Mg)/リン(P)腎臓の働きが低下すると血液中に高くなり、特にKは危険なので5.5mEq/Lを超えないようにする。いずれも低すぎるのも問題。
カルシウム(Ca)/副甲状腺ホルモン(iPTH)腎臓の働きが低下すると、ビタミンDが活性化されなくなり、血液中にCaが低下し手が攣ったりするようになる。と同時にPTHが増加し骨を脆くしてしまう。
ヘモグロビンA1C/血糖値糖尿病の診断やそのコントロールの指標。
総蛋白/アルブミン値尿蛋白(主成分はアルブミン)が多くネフローゼになると血液から失われる。総蛋白はアルブミンだけでなく免疫グロブリンなども含むので、これが高値の場合は、異常タンパクが増えている可能性がある。
LDLコレステロール/中性脂肪(TG)値が高いと動脈硬化が進み慢性腎臓病になる。
BNP/hANP心不全を知る検査
d-dimer血栓ができているかを知る検査
異常な免疫1:補体(CH50/C3/C4)、抗核抗体(ANA)、抗DNA抗体、抗カルジオリピン抗体、他膠原病のSLEや抗リン脂質抗体症候群、膜性増殖性腎炎などの診断
異常な免疫2:抗好中球抗体(MPOとPR3)、抗GBM抗体、他ANCA関連腎炎、抗GBM抗体症候群、ウェゲナー肉芽種と言った急速進行性糸球体腎炎の原因の診断
血液タンパク免疫電気泳動骨髄腫などの異常な免疫グロブリンが増える悪性疾患の診断

2. 尿検査

診断に必要な検査名目的
随時尿(尿一般検査)タンパク、潜血、尿糖、pH、比重、沈渣(赤血球、白血球、円柱、細菌など)を調べる基本中の基本。
24時間蓄尿(尿素窒素、ナトリウム)食事でタンパク質と塩分をどれだけ摂っているかがわかる。
尿タンパク免疫電気泳動Mタンパクの有無を調べる。骨髄腫の診断。

3. その他

診断に必要な検査名目的
腎生検病理検査で画像検査では異常が見つからない場合で、特にステロイドや免疫抑制剤が必要と考えられる原因がある場合に行う。
CT検査・超音波検査腎臓の形態に異常がないかを調べる(多発性嚢胞腎、単純のう胞、水腎症、血管奇形、腎結石、癌などが分かる)

執筆:塚本雄介 2022.2.1