血液透析

血液透析のメカニズム

血液透析とは

血液透析は週に3回(月、水、金か火、木、土)に行います。1回にかかる時間は4~5時間です。透析を行う施設を透析センターとか腎センターと呼び、病院に併設されている場合と、 透析だけ行っている入院施設のないクリニックがあります。大きなセンターでは50以上のベッドがあって、そこで一斉に血液透析が行われます。大方は2シフトといって朝8〜10時から午後12〜3時までの昼間透析と夕方5時以降に始まる夜間透析があります。さらに数は少ないですが、深夜に泊まって就寝中に透析を行いそこから朝会社に行けるという深夜透析もあります。また全国で百人程度ですが家庭で血液透析を自分で行なっている人もいます。

板橋中央総合病院腎臓病センターでは新たな透析の開始や血管アクセスの新設および修理など血液透析に関する全ての治療が可能です。

血液透析のために準備すること

AVシャント
人工血管(グラフト)

血管アクセスを作成します。血管アクセスとはそこから血液を取り出してダイアライザーでキレイにしてから体に戻すルートのことです。血管アクセスには大きく3つあります。

  • AVシャント:最適なのはAVシャントで、前腕の表面に見える静脈と動脈を局所麻酔の2−3時間の手術で繋ぎます(図1を参照)。そうすると動脈の豊富な血液が静脈に流れ込んで表在静脈が太くなり、血液透析のために必要な量の血液を取り出すことが可能になります。なお手術後に血液透析でこれを使用するには2週間成熟を待つ必要があります。
  • 人工血管(グラフト):自分の血管が細くてAVシャントができない場合には人工血管を入れる方法があります。人工血管は手術して翌日には穿刺できる素材も現在は用意されています。
  • 長期留置カテーテル:それもできない場合にはカテーテルを太い静脈に留置します。緊急に透析を始めなければならずAVシャントが透析に間に合わない場合にもこのカテーテルを挿入してはじめます。

血管アクセスの危険な点

  • 敗血症の危険:留置カテーテルと人工血管はなんと言っても感染を起こしやすいことです。そして感染すると敗血症を起こしやすくとても危険です。これを予防するためには清潔を保つことに尽きますが、感染を起こしにくいAVシャントが作れない場合に使用する緊急避難的な方法と考える必要があります。人工血管や長期留置カテーテルを使用している透析患者の寿命は明らかにAVシャントよりも短いことが示されています。このため、透析を始める前にAVシャントを作成しておくことが推奨されています。
  • 末梢の血流の悪化:AVシャントで起こりうる副作用は手術部位より末梢の手先に行く血流が減ってしまい虚血状態になってしまうことです。また心臓に戻る血流が増えるために、心機能が低下している場合に心不全を起こしてしまいます。これは人工血管でより顕著です。
  • 血管の狭窄:どの方法でも共通なのは血液を返す血管の上流に狭窄を起こすことです。

腹膜透析と比べた利点と欠点

  • 利点:透析の力が強いことです。完全に腎機能がなくなって尿が出なくなった場合にも、十分な除水が可能で、血管アクセスがある限りは半永久的に行うことが可能です。
  • 欠点:血管アクセスの感染や血管狭窄による問題や、透析中の血圧低下による生命の危険があります。また心機能が悪い場合にはさらに心臓に負担をかけてしまう危険性があります。食事のKやリン、水分の制限が必要です。

執筆:塚本雄介 2022.2.1