IgAと言うのは免疫を守るタンパク質の1種です。多くは扁桃腺や腸に存在して私たちの体を細菌から守ってくれています。。しかし扁桃炎を繰り返してたり、腸炎を繰り返したりすると変性して腎臓の糸球体にくっつきIgA腎症を起こします。小児から若年層に多いのですが、最近は高齢者でも時々見つかります。特徴的なのは血尿で熱を出すとすぐに尿が紅茶色になることが多いです。軽いうちは血尿だけですが、悪くなると蛋白尿も出てきて次第に腎臓の働きを失わせることになります。尿蛋白が1日0.5グラム以上出ると少し危険な兆候です。特に1g以上ではすぐに治療を始めます。腎不全になる危険性のある慢性糸球体腎炎のうちでIgA腎症が日本人に最も多い腎炎です。放っておくと約30%程度が腎不全になる危険性があります。逆に70%は放っておいても大丈夫ということではあります。
Ig A腎症の診断は?
血液検査でIgAが高いこともありますがあまり当てになりません。診断には腎生検が必須です。
IgA腎症の治療は?
腎生検の結果、今後進行する危険性が高ければステロイド療法を行います。若い時に扁桃炎を繰り返している場合はそれに先立ち扁桃腺を摘出する手術をすることが、よりステロイドの効果を増すことになる場合が多いようです。ステロイド療法はいくつかの方法がありますが、私たちはメチルプレドニゾロン1gの点滴を3日間入院して行うステロイドパルス療法を行います。このパルスを2ヶ月間隔で計4回行い、その間にプレドニンを毎日30mg服用します。合計6ヶ月間行うとこの治療法が効果的であれば蛋白尿が0.5g以下になり進行を止めることができます。効いても効かなくてもその後2ヶ月間かけて徐々にプレドニンを減量して中止します。2022.3.1